
腎臓や尿管などの結石(上部尿路結石)は、時に強い痛みを伴う病気で、壮年男性に多い病気です。腎臓では血液から尿が作られますが、その際、いったんできた尿は腎臓の中で0.2−2%位になるまで濃縮されます。その時、結石の元となる結晶ができます。ですから、暑い夏に多く、良くお酒を飲む男性や塩分を沢山取る人、水をあまり飲まない人に多いのです。

図7a,b ESWLによる砕石前と砕石後(結石サンプル)
現在最も良く用いられているのは体外衝撃波結石破砕術(ESWLまたはSWLと略されます)です。
ESWL治療について少し説明します。発生装置で作られた衝撃波は水の中ではほぼ減衰せずに直進しますが、硬い物質や異なる物質の境目では吸収されます。この衝撃波をレンズなどで体内の一点、すなわち結石などの硬い物質に集中させると、エネルギーが吸収され、破壊することができます。2cm以上の大きな結石や、尿管の中ではまり込んで動かない結石、非常に硬い結石などを除いて、90%以上の結石が治療できます。ある程度細かくなれば、尿管を抜けて膀胱まで落ち、次の排尿の時に体外に出てきます。いくら細かくなったとはいえ、固形物ですので、流れ終わるまでに痛みを伴ったり、まれに熱が出たりすることもありますが、多くは一時的です。
治療の副作用(合併症)としては、痛み、発熱のほか、腎臓の場合には被膜下血腫(0.1-1%)を起こすことがあります。これは、腎臓にできた大きな血豆と考えてください。腰痛や微熱、貧血などの症状のほか、まれには腎臓の機能が低下することもあります。この様な合併症の可能性もあるため、当院では入院での治療を原則としていますが、尿管の小さな結石で、すでにESWL治療の経験がある方など、一部の患者さんでは日帰りで行うことも可能です。
また、お忙しい患者さんのために、土日を利用したESWL治療日程も可能です。詳細については、個々の患者さまで条件が異なりますので、受診された際に担当医にお尋ね下さい。
まず、腎臓、尿管の大きな結石(2-3cm以上)があげられます。その他、尿管の同じ場所に長い間留まっていて、周囲の炎症が強い結石、同じく、腎臓機能が強く障害されている場合、何度もESWL治療をしたが変化のない結石などが、治療の難しい結石となります。単純に尿管結石で2cm以上であれば、困難結石となる可能性が高いと考えられます。この様な場合には、ESWL以外の治療法が必要です。
腎臓ないしは腎臓に近い尿管内の大きな結石であれば、背中から腎臓に向けて針を刺して、その針穴を広げて内視鏡用の手術ルートを作り、内視鏡的に結石を砕石・除去する方法(経皮的腎結石除去術=PNL)があります。あくまで一部の患者さまに対する手技ですが、限られた施設でしか行うことはできません。道具、機械のみでなく、出血の危険性もあって高度の技術と経験を必要とする手術です。
中部・下部尿管のE治療困難結石では、尿道から尿管に直径2−3mmの細い尿管鏡を挿入して、結石をレーザーなどで細かく砕き、特殊なバスケット・カテーテルで結石片を膀胱まで落とす方法(経尿道的尿管結石除去術=TUL)があります。
使用する内視鏡には、硬性鏡の他、軟性鏡もあって、尿管全長に亘り、結石除去を安全に行うことができます。ただ、比較的簡単な場合もありますが、摘出が非常に難しい結石もあります。特に、困難結石の治療の場合には、内視鏡の種類だけでなく、種々の医療器材を用意して、あらゆる可能性に備えた準備が必要となります。
当院では、1988年からドルニエ社のESWL装置(HM-3)を導入以来、約6000人近い結石患者さんの治療を行ってきました。また、1992年からはPNLやTULも開始し、ESWLでは治療が難しい尿路結石も多数手術してきました。あくまで、ESWLでは治療困難な結石にのみに行っていますが、それでも、年間に50−70例を数えます。結石治療に関しては、これらの経験をふまえて、ESWL治療から高度の内視鏡治療まで、どんな結石に対しても応じられる体制をもって、皆さんの診療にあたっています。
2009年9月11日より、最新型ESWL(体外衝撃波結石破砕術)装置 ドルニエDelta IIを導入しました。独ドルニエ社は世界で始めてESWL装置を開発し、現在も全世界・国内の施設で最も多く使用されています。当院では1988年のESWL開始以来、同社の3代目の機種となりますが、これまでと比べて、破砕効率の向上、破砕時の痛みの軽減、容易な結石の位置合わせなど、一段と優れた機器となりました。
特に、今回導入した機種は超音波装置と最新の高精細X線透視装置により、X線では写らない結石、小さな結石、あるいは見えにくい場所の結石などの探査に大きな威力を発揮し、結果として放射線照射時間の大幅な短縮が可能となりました。また、衝撃波を発生する治療ヘッドは自由自在に回転するので治療時に無理な体勢で行う必要がないなど、以前からある利点はそのままです。ESWL治療では、細かく砕かれた結石は自然排尿で排石させるので、人体の機能を最優先したシステムといえます。